【エンタメ旅のすけ Vol.02】「あまやどり」 #イマーシブシアター
味仙のランチに間に合わず矢場とんで味噌カツ食べた酒井りゅうのすけです!
作品作りをしていくというアウトプットに対して、沢山のエンタメを体験するインプットはその倍以上に必要だと思い各地のイベント等には前のめりで参加しております。そんな参加イベントの中からオススメやレビューをしていくのが【エンタメ旅のすけ】です。Vol.02として紹介するのは8月2日に1日だけ限定で上演されたイマーシブシアター「あまや鳥」です。
■ストーリー
2022年7月
雑誌、SNSで話題の絵描き、青山弥彦の個展を訪れたあなたは、急な強い雨のため会場で雨宿りをすることに。
そんな中、会場を訪れていた女性の一言により物語が動き出す。「10年前起きた、中学生の女の子の母親が殺害された事件についてなにかご存知でしょうか?」
“登場人物の過去”、”駅に展示されていた絵”、そして…
それぞれが重なる。雨が呼んだ再会の話___。
今回はセリフのある演劇としてのイマーシブシアターです。
会場は名古屋にある「リアル脱出ゲーム名古屋店」の7階フロアを使った公演でした。
出演者キャスト5名で紡ぐ物語にダンスアンサンブルの2名が加わった7名で展開される物語。上演時間は50分弱という形でコンパクトにまとまった物語でした。
画家の青山弥彦さんの個展会場に見立てられたホールには観客が座る事もできる椅子が配置され、青山さんの作品(に見立てられた装飾されたイーゼル)に囲まれた空間でキャストから声をかけられながら絵を見たり、それぞれのキャストの思惑的なものを聞いたり。物語の序盤で館内設備にトラブルがあったようで様子を見に行くために隣の部屋に行くチームと、現場に残るチームに分かれて物語がそれぞれの部屋で展開されていきます。隣の部屋は青山さんのアトリエとして使われている部屋に見立てられた美術セットになっていました。
個展を訪れた客としての立場を観客も持っているので、キャストさんは話しかけてくるのですが、参加者は物語に介入できるわけではないのでリアクションをどのレベルで返して良いのか?少し物語の世界と自分との関係性で戸惑ってしまう部分はありましたが、キャストさんと頻繁に目が合うというのは一般的な演劇演目ではなかなかない部分ですし、自分自身が『見えざる存在』として物語の中に取り込まれるタイプのイマーシブシアターでは味わえない別種の体験として仕上がっています。
今回の演出の中で僕個人としてはダンス・アンサンブルの2名の存在を作り出した事はとても良い仕掛けになっていたと感じました。セリフのない2名のアンサンブルさんですが、観客の動きを指示して椅子に座らせたり、立たせたり、移動を誘導したり、ある場面では小道具を手に持たせて行動をさせるなど自発的に動けない観客の案内役であり、代弁者となる存在として機能していました。この存在のさせ方はイマーシブシアターの中でどう動けば良いかと迷ってしまう観客にとってはとても良いアテンドの仕方になっているのではないかと思います。(今回はその分、自由度という部分が犠牲になってしまう所もありましたが)
当日パンプレットも個展のパンフレットを模してデザインされていました。
台詞ありの演劇演目としてのイマーシブシアターも、ジャンルとしてどんどん広がって欲しいと思える作品でした。
あなたのはなし『あまやどり』公演情報
https://www.scrapmagazine.com/nazocomplex/events/anahana/